首筋にかかる吐息がくすぐったい。
やわらかくあたたかく。
ふれるその体。
愛しい存在が、顔のすぐ近くに留まってくれている。
大きさが違いすぎるせいか、照れて逃げたりもしない。
小さくなってしまったリナには悪いが、幸せ過ぎる。
「なぁ。町に入るんだったら隠れた方がよくないか?」
よくある田舎町の入口。
魔術に失敗し、手の平サイズになってしまったリナに聞いてみる。
どこに隠れて貰おうかと思いながら、肩に乗っていたリナを何気なく掴んだ。
掴んでしまった。
や、やわらかい・・・明らかに他と違うのが人差し指の辺りに・・・
と、掴んだまま思わず固まってしまったオレをいぶかしく思う声も無く、じたばたと手の中で暴れているリナに気付いた。
「ちょっとガウリイ!放しなさいってば!」
か、かわいい・・・!!!
あのリナが。
あのリナが!
吹っ飛ばす事もせず、オレの手の中で暴れる事しかできないなんて・・・
なんか、こう、あれだ。
こういうのを保護欲っていうんだな。きっと。
いつも以上に守らなければと思ってしまう。
「ガウリイ?」
反応の返らないことを疑問に思ったのか、眉を寄せてこちらを見上げてきた。
「あ、ああ。いや、なんの話だったか・・・?」
「くぅ!スリッパを出せないのがもどかしいわ!」
両手でオレの手をぺしぺしって・・・ああもう!
「だから!隠れなきゃいけないときは、あんたの髪を借りるから。元の位置に戻して!」
感動に打ち震える内心を隠しつつ、言われた通りに襟首辺りに戻す。
長い髪に感謝、だな。
まあ、この時点で、髪を借りる=うなじへ移動 であるとわかっていれば、もうちょっと他の場所に隠れて貰ったんだが・・・
[6回]
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